1.企業価値の向上と内部統制

企業は外部環境の変化を認識しながら、自らの内部環境を測定し、その中で経営目標を掲げます。  経営目標というのは、通常は売上がいくら、利益がいくらという風に具体的に数値化されるでしょう。経営者は、その経営目標を達成するために企業の組織構造を変化させていきます。  また、変化させた組織構造の中でさらにその業務を有効に、効率的に回していくために組織的に内部統制の設計が行われていると思います。  広くとらえると組織構造までも含めて内部統制であり、従って、内部統制は経営目標を達成するための経営管理活動そのものでありますから、それはつまるところ「企業価値の向上」に深く結びつくものであると言うことができます。  前章の説明の中で、内部統制の四つの目的の話があったかと思います。業務の効率性、資産の保全、コンプライアンス、そして今テーマとなっています財務報告の信頼性の四つです。  財務報告の信頼性とコンプライアンスにつきましては、昨今これを阻害する事件が増加しています。例えばつい最近では損害保険会社の保険金の不払いとか違法な営業などが記憶に新しいところです。  企業がそういった問題を一度起こしますと重い社会的な制裁が科せられる昨今です。第一章にも、突然死に至るという話がありましたが、そういう意味では内部統制の四つの目的のうちコンプライアンス、そして財務報告の信頼性の重要性が、どちらかというとそれができていないと企業価値にとっては負の影響が大きいという方向で、増してきているといえるのではないでしょうか。  このように企業価値の向上のためには、内部統制が重要なのです。

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