5.データの流れ

作業を開始した途端、以上のような問題に遭遇することになろうかと想像されますが、以降では、RCMを作成する上で、このような問題を解決するためのコツと最低限必要な基礎知識ついて、お話したいと思います。  今、会社の情報はすべて多かれ少なかれITを利用して作成されています。財務会計データもすべてデータで流れている。財務報告の信頼性を確保するには、まず最初に財務報告につながるデータはどういう流れでつながってきているのかという、全体像を俯瞰する必要があります。あるサブシステムに投入したデータがインタフェースされて財務会計システムにつながっていくというのは典型的なパターンです。そのような全体像を見る資料(ツール)として、ここではマッピング(図-8)の活用を紹介します。マッピングにより、どのシステムに入力されたどのようなデータが会計システムにどのようにつながっていくか、そのデータはどの勘定科目と関連するデータなのかを読み取ることができます。もう一つご紹介する資料が、システム概要図(図-9参照)です。こちらも各サブシステムと会計システムへのつながりがシンプルに描いてあります。  私がよく現場でインタビューする際に持っていくのはシステム概要図でして、こちらで事前にあらかたデータの連携を頭に入れておきます。現場担当者はこちらがシステムの名前を当然知っているものとして話をするので、話の途中で混乱しないようにこれを手元において、ちらちらと確認しながら進めています。  重要なのは財務会計データにつながるデータ入力が一番最初にどこで誰によって行われているか、それはどのようなデータなのかということです。  財務会計データは金額データですが、サブシステムにおいて、単価かける数量をシステムで計算した結果を金額データとして財務会計システムに受け渡します。  それを踏まえたうえで、検収入力ついて考えたいと思います。一言で検収入力といいましたが、皆様の会社で商品等の検収時に何を入力していますか? 個々の品目コード、数量、金額を入力しますでしょうか? そんなことを普通はしないと思います。通常は発注時に品目コードと数量をシステムに入力して、そのデータが更新され、検収データに変換しているのではないでしょうか? この場合、検収時には発注数量と検収数量の差異だけが調整されます。  この場合、数量データの入力は発注データの入力時に行われていますので、発注入力の正確性を確保するコントロールがまずは重要になってきます。その上で、実際にものが納品されたときの発注数量と検収数量に差異があった場合に、これが適切に修正されていることを確保するコントロールというものが必要になってくるのです。  次に、単価はいつ誰がどのように入力していますでしょうか? ここでは単価マスターがシステムに登録されていて、自動計算で入庫金額計算されるケースを想定して下さい。このような場合、マスター登録の正確性が財務報告の信頼性にとって重要になってくることにお気づきだと思います。仮に検収時に金額も数量も入力している場合であれば、そのときの入力の信頼性がすべてです。  以上のように企業によって、その使用するシステムによってどの入力が財務報告の信頼性を確保する上で、重要であるのか、逆の言い方をすれば、リスクの大きさが異なります。システム間のデータ連携の理解、これが文書化作業の第一歩となります。

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