8.日常的モニタリング

先程の例のように、よく代替的コントロールを探そうとします。ちょっと今認識しているコントロールが弱いから、ほかにコントロールがないかと、探すわけですが、それに使えるのがモニタリング統制です。  モニタリング統制というのは、一般的に日常的モニタリングと独立的評価の二種類に分けられています。独立的評価というのは不定期に入る内部監査がその代表例です。  代替的コントロールとして使えるのは、日常的モニタリングの方で二種類あります。  一つ目が、他の統制機能の評価を目的とした活動。統制活動が財務諸表の信頼性を確保するために、本当に効果的に運用されているかどうかを監督するために設定される経営者または管理者によるモニタリング。これは統制活動、コントロールを監督してその有効性を高める、またはあるレベルに維持するための活動です。先ほど代替的コントロールとして例に挙げた銀行残高調整表のレビューとか、実地棚卸結果のレビューなどが他の統制機能の評価を目的とした活動に当たります。  日常的モニタリングの二つ目は、管理者によるレビュー・業績レビューです。これはもともとは財務報告の信頼性を確保することを目的とはしていません。売上はどうなっているか、利益はどうなっているのか、そういった業績をレビューするための管理資料、実績資料等の結果を分析することによって副次的に財務報告上の誤りを発見することが期待できます。  例えば実績資料の中で異常な利益率が出ていました、こんなはずはないんじゃないか、ちょっと調べてくれということになり、調査してみると仕入の計上漏れがあったとか、出庫処理漏れがあったとか、売上の計上漏れとか計上過大があったとか、そういうものが結果として発見されることがあります。また経費を前期と比較、あるいは予算と比較してみます。全く違う数字が出ている、これはおかしいんじゃないか、ということで原因を調べる。そうしたら費用の計上漏れがあったとか、費用が二重に計上されていたとか、計上すべき勘定科目と違う科目であがっていたとか、そのような財務報告上のエラーが見つかることがあります。  実はこれは効果的でして、大きなエラーがここでは捕捉されています。もちろん小さなエラーはここでは見つからない。一件、二件の伝票を入れるのを忘れたとか、そういったことは絶対ここでは見つからないのですけれども、大きな財務報告上のミステイクというのはここで発見することができますので、財務報告上の信頼性を確保するという意味であれば非常に有効なコントロールということになるかと思います。代替的コントロールが思い浮かばないときは、まずは、このモニタリングコントロールでカバーできないかどうかというのを考えてみるのがよろしいのではないかと思います。

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