1 業務評価は目標管理制度との連動がベスト

業績評価をどのようにして実施するかについては多くの考え方がありますが、私はノルマ管理にならないために、MBOで業績評価をすることが有効であると考えています。そこで、まずMBOの本質について説明していきます。
MBOは、Management By Objectives and Self-controlの略で1956年ごろ、有名なピーター・F・ドラッカー氏が「現代の経営」の中で提唱したものです。
Self-control(自律的な能力)をめぐっていろんな翻訳がされていますが、「最終目標の達成に向けて(組織目標という制約の中で)、自由に自己目標を設定し、自己の目標を組織目標に合わせ、その達成に向けて行動できる能力」が自律的な能力です。そして目標達成に向けて自己を律し、達成感を味わうことを本質とするのがMBOであると、私は考えます。自律的な人間像とは、

人はすべて自己中心的な存在で、自分の利益になることは自発的に行動したいという基本的な欲求をもっています。しかし、社会には他人に迷惑をかけてはならないという規範があり、さらに企業という組織には経営理念があり、方向性が示されています。
このように与えられた目的に向かって、いったん自分の欲求を抑えて、企業の目的を実現するための決断ができる人を自律性のある人と言います。
この決断によって自分の責任所在を明確にし、その実現を誓約することのできる人とも一言えます。したがって自律的な人は、失敗したときも他人のせいにしません。言いわけもしません。このような人は、企業の目的が道徳的にもとっているとわかったら、選択を拒否する勇気をもっています。

になります。
Objectivesと複数になっているのは、企業の目標は複数の側面で支えていかなければ達成。できないことを意味し、個人の目標も複数であることが望まれます。私は5つの目標を設定することが、効果的であると考えています。
目標は達成感を味わうためにあるので、チャレンジ精神が生まれてくるようなものでなければなりません。また、目標を達成するためには継続的、かつ段階的な努力も必要です。このようにMBOは、人の成長を促すもので日本の能力主義に合っていました。すでに1960年代ころから日本では、導入がスタートしています。
企業がどんな主旨でMBOを採用したかを示す参考データが下の参照1です。この表からわかりますように、「評価基準の明確化」と「マネジメント能力の向上」が常に上位にあります。これはどの企業も「評価」と「マネジメント」教育には、いつの時代も苦労しているのがわかります。マネジメント層の目標管理は、企業の目標(経営計画や利益計画)に直接結びついてきます。特に大切ですので、マネジメント層(部門長)のMBOの展開のしかたについて、さらに説明していきましょう。

MBOとノルマ管理は遣う
ところで、MBOとノルマ管理は本質的に異なります。その違いは下の参照2のとおりです。MBOを現代的に定義すると、次のようになると考えます。

MBOとは「自律した個人が目標設定という行為を通して、組織の問題に取り組み、複数の目標を焦点にして最大の成果を達成すること」を目指すものです。
MBOに取り組むために必要なものは、
・経営計画書――経営理念の浸透と目標の整合性を図り、部門間目標を全体に統合するためのもの。
・利益計画書――自社の体力、必要利益を把握するためのもの。
これらが用意できないと、あるべき目標設定はできません。ここにおいても、経営計画と利益計画の公開が前提となります。

部門長が目標設定をする
部門目標とは、部門長の個人目標です。部門長には中期経営計画および利益計画に基づいて、自部門では何をなすべきか、自分の役割任務は何かを適確に判断ができ、そのリスクを受け入れることができる能力が必要です。
部門長は、社長の方針発表を受けて自部門の目標を具体化していきます。重点施策、目標の展開という場合もあります。部門長が展開した目標を社長は、次の観点で検討します。

「社長(私)の方針と合致しているか」「社長(私)の部門長への期待が反映されているか」など。そして社長(私)の方針に合っていない場合には、その理由を説明して部門長に再作成をさせます。この繰り返しによって、社長の意思と部門長の意思のすり合せを、社長(私)が納得するまで徹底的に行います。社長(私)が納得したところで部門長の目標が確定しますと、それは杜長(私)と部門長の契約になります。
社長(私)と部門長のこのコミュニケーションが連帯感、共通理解を強化して、心理的相互作用により、心的共振のエネルギーが湧出し、部門長の意欲が強化されます。

参照1 企業が目標管理を行う強化ポイント (単位:%)

内容 導入詩の
ねらい
現在の
ねらい
強化
したい点
評価基準の明確化 52.2 47.8 52.2
管理者のマネジメント能力向上 23.9 32.8 46.3
組織の活性化 33.6 25.4 26.9
チャレンジ、意識の醸成 41 38.8 36.6
組織目標と個人目標の統合 47 52.2 25.4
参画による動機づけ 20.1 9.7 7.5
OJTへの活用 9.7 12.7 8.2
社員の自己統制 9 14.2 9.7
社員の働きがいや自己実現 18.7 12.7 9.7
個の尊重 2.2 2.2 3
上司と部下のコミュニケション充実 27.6 26.9 23.1
目標連鎖の形成 14.2 20.9 22.4
課題形成力の向上 11.2 13.4 23.1

参照2 MBOとノルマ管理の違いを知る
MBO:自律的・目標による管理・命令なき管理
ノルマ管理:他律的・目標を管理する・命令による目標管理
→MBOとは、自律した個人が目標設定という行為を通して、組織の問題に取り組むこと。複数の目標を見据えることで、最大の成果を達成するととを目指す。

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