4 現場発揮能力基準書をベースに役割貢献給は決める

「マネジメント群」の役割貢献給を決める
役割貢献給はポストについている価値ですから、役割を明確にしておく必要があります。それを明確にするには、自社の部長で最も優秀な人のベンチマークを行い、行動様式を書き出し、現場発揮能力評価基準書を作成しておく必要があります(下参照)。
ここではおの共通評価項目を用意しました。部門ごとに評価基準を変える場合は、それぞれの部門の特性にあったものを加えます。顧客志向の観点、研究開発の観点、人事戦略の観点などが考えられます。評価水準は次ページの下のとおりです。
ここに例示したものを自社で作成したものと仮定して、マネジメント群の人、特に部長職相当の人に実施してみますと、平均点とバラツキが出ます。その点数により現状を認識し、あるべき得点を決めて、役割貢献給でのABCの水準を決めます(参照
元来、ポストの価値ですから現状に合わせるのは矛盾があるとも言えますが、現在の役職手当と現実の評価点を出発にして、評価基準書を部長の成長の指針として活用します。
ポストに就いている価値とは、職能の段階を問わず、必要があって部長になる場合があることを意味します。たとえば、若い、または中途採用の人がそのポストにつく場合が考えられます。その初任は、cからスタートします。Cは見習いです。また、Cはチャレンジでもあり、抜擢して様子を見るというときにも、この役割貢献給は活用することができます。
B→Aへの昇進は、部門長評価基準書と他の部長との相対評価で決めていくこともできます。熟練で貢献が大きい部長は評価基準の得点も高くなっていますから、B→Aの昇進判定は、それほどむずかしくありません。
ポストに就くときに、職能等級資格に縛られる必要はありませんが、情意評価での高得点、たとえば、300点以上を条件としておく必要があります。

+5 模範的にできている。他に良い影響がある。他人を巻き込んでいる。
+3 よくできている。
+1 どちらかというと、できている。
-1 どちらかというと、できていない。
-3 できていない。

ポストから外れると、この役割貢献給は支給されないことになります。毎年の評価によって昇進とともに降格もあり、発揮能力の相対評価によって、他に優秀な人が現れると交替されることもあります。
部門長に必要な能力が事前に公表されることで、部門長自らの努力目標が明確になり、自律的なチャレンジがなされることが期待されます。社歴が古いから部長になるのではなく、真に必要な能力によってポストに就くことができる体系になっています。

「スペシャリスト群」の役割貢献給を決める
マネジメントは苦手だが、専門能力によって企業に貢献することは、今では一般的になっています。
すべての人が管理職になれないフラットな組織体系の中で、複線型の体系によってスペシャリストを処遇し、定着をさせ、安心して能力を発揮してもらうという目的をもつのが、役割貢献給のもう一つの側面です。
専門職の必要性と定義は企業によって異なりますが、営業職はどこの企業でも、専門職として処遇されてきました。経理職についても専門職と考えて、その知識を評価し処遇することができます。
スペシャリスト群の経理マン、経理部長というマネジメント群経理マンとの相違を示して作成した基準書を、下の2、3にて例示します。
評価基準書は、マネジメント群と同様のスタイルで作成してもよいのですが、ここではいろいろな方法を紹介することを目的として、少し違ったつくり方をしています。
観察評価ポイントを単純な言葉で表現して、評価水準の記述に工夫をこらしたものです。観察評価ポイントには、あらかじめウエイトをつけておきます。満点は500点です。
企業に就職する税理士も増えていますが、資格があるだけでスペシャリストとは言いがたい側面があります。自社の人事理念にあった教育の方向性を一不すために、チェックリストとそれに基づいた評価が必要です。
職能資格要件と重複した評価ポイントもありますが、長所のダブル評価ですから、強調点としてとらえています。
スペシャリストは、自社の弱いところを早急に養成するという人事戦略的な側面をもっています。ですから、何をスペシャリスト群にするか、その価値はいくらなのかは、それぞれの企業の必要度と緊急度によって異なってきます。

参照1 現場発揮能力評価基準書部長職

評価項目 +5 +3 +1 -1 -3
1)自己の成烈性の認議
1 自己の長所20、短所10をいつでも書き出せる
2 自分が周りに与えている影響を時々チェックしている
3 職場は自分の人格を高める道場と理解し、部下に話しをしている
4 トップにとって耳の痛いととも、状況を見計らって伝えている
5 自分と異なるものに出あったとき、すぐに感情的にならないで、事実をく観察している
6 間、束をって期待ない(誠実さ、信頼の得)
2)部育成
7 人聞は長所半分、短所半分。短所ばかりを責めていないか
8 納得のいく評価力があり、部下を抜擢推挙する見極め能力が高い
9 チャレンジする機会を与え、失敗を共k力パしている
10 部下への関心をもち、め、励ま、勇気づげている
11 過保護、週干渉にならないタイミングの良い援助をしている
12 部下の方向性に誤りがあるとき、気づいたらすぐフィドパックをしている
13 下を信て、能力に応じた権限委譲して、プセスを観察しいる
3)ヨコの相互関係構
14 部門聞に対立が生じたとき、意義を、共通理解できる調和点見いだしている(合形成力
15 対立が続く関係で、自分が第三者になったとき、対立から抜け出すタイミングで介入し、共通理解に貢献している
16 報の共有化に積極的で、良い情を進発言している
17 達成びを昧わうため、困ってる部門を援助して人や時間の援助)
4)戦略志、経営ジョ
18 SWOT分析を駆使した、現状分析で問題の的な指摘をしている
19 自分の解決力の限界を知り、ギリギリの智慧が出ない場合は専門家に相談している
20 るべき姿の仮説をて、検理性がある
21 現状に縛られず、1年先、2年先を見据えた未来志向の企画を立案し、トップを支揮している
22 経営理念の真髄深く理解し、情熱をって部下に伝えている
23 積極的に現場1出向き、現場の意見を聞き、悩みを共にし改善点を発見している
24 必要拡情報がどこにあるか知っており、その活用が上手である
25 および部下の健康管理に配してい

参照2 経理マン評価基準書

スペシャリト群の経理マ マネジメント群の経理マン
番号 観察評価ポイント ウェイト 得点 観察評価ポイント ウェイト 得点
1 専門知識の組 20 100 門知識の組織化 20 100
2 現実直視力 5 25 現実直視力 5 25
3 未来貸借対照表を作る力 5 25 未来貸借対照表を作る力 5 25
4 リスクマネジメント力 10 50 りスクマネジメント力 10 50
5 情報分析の活用力 5 25 報の収集力 10 50
6 情報発信力 5 25 段取り能力 10 50
7 条件交渉力 10 50 調整力・折衝力 20 100
8 経営資源の配分と活用 20 100 目標面接力 5 25
9 自社のSWOT分析と活用 10 50 フィドバック力 5 25
10 自律志向性 10 50 公平な評価と抜擢推挙 10 50
合計 100 500 合計 100 500

参照3 経理マン評価水準

専門知識の組織化
5 経理財務に関する知識は十分で、専家レベルで深耕をけており、他人に対しても極的に教えている。
3 経理財務に関する知識は十分で、専門家レベルで深耕を続けている。
0 経理財務に関する知識は十分で、外部専門家に問しなが5こなしている
-3 経理財務に関する知識はあと患で、専門家の領域に達する能力である。
現実直視力
5 司苓7ここで起きている実とその意昧を知コて単刀直入に問題を指摘している。
3 今、ここで起きている事実とその意昧を知っているが、指摘に遠慮が見られる。
0 今、ととで起きている事実の指摘に留まり、意昧づけた意見が出てとない。
-3 -31今、ここで起きている事実に対して評論家的意見が多い。
-5 -51今、ととで起きている事実を適切に説明ができない。
情報の
5 工司隔蚕0)改正国家予算内外業界、気の動向に関Eを持って有効な情報を上手に集ている
3 自分の業務に関連する情報は現在考えうれているあ5ゆる手段を用いて効果的に収集している。
0 自分の業務に関連する情報で特に必要なものはよく集めている。
-3 自分の業務に関連する情報は集めているが、ムラがある。
-5 人に指摘されZ互いと情報を集めることがない。
報分析の
5 商店寝蚕活動の支援や、新しい街威に対するために情報を分析し、戦略立案に貢献している。
3 社内業務改善のために情報を分析し、戦略立案に貢献している。
0 活用できるものが多いが分析がやや甘い。
-3 活用できるものにムラがある。
-5 活用できるものにムダとムラ多い。

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