2 複線型の人事に対応した役割貢献給をつくる

賃金構成は単純明快がよい
最近、役割給、期待給という名称が出ていますが、私が役割貢献給を用いたのは、200ー年で、この概念では、先駆的な考え方を出しています。当時、複線型の人事をどう処遇に結びつけるかということが議論されていました。
すなわちマネジメント群にならなければ、役職手当がつかない、昇給がストップしてしまうということで、マネジメント能力のないスペシャリスのためにポストをつくりました。それによって組織が複雑になったり、スペシャリスト本来の能力の発揮を妨げる弊害が出てきました。
賃金構成は単純明快であるべきだという私の観点から、スペシャリスト群の賃率をABCという複賃率にして、従来の役職手当にドッキングすることにしました。すると必然的に役職手当もABCという複賃率になり、これが結果としては大変、理屈にかなっていました。新任の部長とベテランの部長では、明らかに責任と権限や影響力は異なります。
同一の役職であっても「賃金格差は当然なくてはならないが、単賃率ではどうしょうもない」という過去のモヤモヤを解決することになりました。

役割貢献給表は「マネジメント群」「スペシャリスト群」を含む
役割貢献給表の構成は下1の通りです。
大きくはマネジメント群と、スペシャリスト群に分かれています。
この表のマネジメント群は、従来の職制を記したサンプルです。現在では係長や課長職のないものがありますから、自社の組織実態に合わせて作成することになります。ポストのグレードによる価値を表しています。
スペシャリスト群の代表は、従来の営業手当です。営業職の中でも責任の範囲と権限などの違いにより、1級、2級と分けることで柔軟な対応が可能です。
スペシャリスト群に研究開発職、各種の国家資格で会社の役に立っているものをリストアップし、会社におけるプライオリティを考えて金額を設定していきます。会社に技術伝承の観点からマイスター(技能熟練者)がいれば、この表で優遇することができます。
同じ名称(役割)でもABCと複賃率になっているのは、同じ役割でも習熟度、責任の範囲、周りへの影響度が違うからです。
たとえば、部長になったばかりの人と5年目の部長であれば、部長が育っているという意味で習熟度に違いがあるのが理想的です。また、2~5人の部下をもっ部長と却人以上の部下をもっ部長とでは、管理スパンが大きく異なりますから、貢献度は異なって当然です。
このように、役割貢献給はマネジメント群では、ポストについている価値と考えます。スペシャリスト群は、特別なスキルの高さ、すなわち職能給で十分に評価できない発揮能力への価値と考えます。
したがってマネジメント群では、ポストから外れると役割貢献給は支給されなくなります。また、C→B→Aという昇格があるのと同様に、A→B→Cという降格があります。スペシャリスト群でも発揮能力にムラが出たりするなど、発揮水準が劣ってくると降格があります。その意味で、役割貢献給の評価システムは、特に充実していることが望まれます。

参照1 役割貢献給段階表 (単位:万円)

名称 A B c
マネジメント群 本部長 30 25 20
部長 15 12 10
課長 7 6 5
係長 3 2.5 2
主任 1.5 1 0.5
スペシャリスト群 営業1級 15 12 10
宮業2級 8 5 3
IT技術者1級 15 10 8
IT技術者2級 5 3.5 2
看護師1級 12 10 8
看護師2級 6 4.5 3
介護士 6 4.5 3

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